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認知症高齢者への接し方 BPSD(周辺症状)への対応

2019.12.04(水)

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認知症になると、物忘れから始まり、徘徊や暴力行為、興奮、睡眠障害など様々な周辺症状が現れます。

家族、介護者の心身を悩ませるのは、物忘れよりもむしろこれら周辺症状だと言われています。

では実際に生活の場面で、どのような行為として現れるのでしょうか?
周辺症状(BPSD)の具体例と、その対処法をご紹介します。




自分の身体に傷をつける?

 

 自分の身体に傷をつける事を「自傷行為」といいます。

 

 別の精神疾患が発症したと考えられます。治療の必要があるか専門医に相談し、今後の対応方法の指導も受けるべきでしょう。

 

 

 

畳をむしったり、布を裂きつづける

 

 畳をむしる、布を引き裂く等の行為を一日中繰り返す人がいます。

 

このような行為には、手持ち無沙汰や何か目的のある行為と思ってしている。例えば、昔手仕事などのよみがえりやストレスをぶつけている場合もあります。何か興味を引く事をするようにしましょう。割いてもいい布をお渡しするか、他の手仕事を提供しましょう。

 

 

 

火をもてあそぶ

 

チャッカマン・ライター・マッチなどの火がつくものは、目の届かないところに置くなど、火事にならないような配慮が必要です。

 

ガスレンジも不安であればIH式のレンジに切り替えるか、元栓からガスを止めておくか早めに対応しておきましょう。

 

 

 

 

  大声で叫ぶ

 

 高齢者が大声で叫ぶのは、何かして欲しい時や自分の思いが伝わらないなどが考えられますので、何をして欲しいのかわかるようにしましょう。

 

 日頃の不満、不安や身体の不調等が原因になっている事も大いに考えられます。部屋や浴室の寒暖、家具や用具の不具合、便秘、不眠等にも日頃から注意をはらいましょう。

 

 

 

ふいに興奮して騒ぎ出す

 

まずは落ち着いていただくように話を聞きます。

 

それからこの状況が起きる原因を考え、まわりの者が高齢者のペースに合わせ話したり、行動するようにしましょう。また、認知症の高齢者が普通の状態の時に急に怒り出す事がありますが、それには次のような原因が考えられます。(1)本人にとっては急にではなくそれなりの流れがあったにもかかわらず、周囲が気がつかなかった、(2)一連の出来事の中で瞬間的にものを忘れる。ふいに怒ったりするのは物事の流れが連続しないことからくる事が多いのですが、気分が落ち着いている時はこのようなことは少ないのです。高齢者にとって周りの出来事は理解するのにテンポが速すぎるのです。

 

 

 

「誰かが襲ってくる」と騒ぐ

 

 本人は恐怖心を持って訴えてきているので否定をせず、じっくり話を聞き、まず安心してもらうことが先決です。

 

 頻繁に起こるようなら認知症以外の病気も考えられるので、専門医に相談することをお勧めします。

 

 

 

人に対して攻撃的になる

 

 感情をコントロールできないことにより出現する症状です。

 

その人が、しようとしている事を止めたり、注意したり、また何らかの刺激で興奮してしまったりすることで攻撃的な行為がみられることがあります。人に暴力をふるったり、暴言を吐いたりしなければならないほどの興奮状態になる場合は、無理に説得しようとせず、温かい声かけをするなど安心できるような対応をしていきます。頻繁に起こるようなら認知症以外の病気も考えられるので、専門医に相談することをお勧めします。

 

 

 

介護者を泥棒呼ばわりする

 

 最も近い人や信頼している人に対して、このような発言をすることが多いようです。

 

 物が無くなったと言われたときは、否定せず同調して一緒に探すことで本人の気持ちをやわらげるようにしましょう。介護者が対応するのが難しいようであれば、家族に協力してもらい、一緒に探すことで、安心してもらうという方法もあります。

 

 

 

暴力をふるう

 

 暴力を振るい始めたらまず、介護者が落ち着くことです。

 

スキンシップをして抱きしめて上げるのも一案でしょう。まず、ご本人の思いを受容することが第一です。日々の生活での不安感や欲求不満等が、暴力行為につながることがあります。家族に男性や力の強い人がいると、つい力で押さえ込もうとしますが、そうすることによりさらに興奮させ、暴力をエスカレートさせることになります。これは症状として出てくる場合もありますので、専門医に相談しましょう。

 



幻覚を起こした時の対応は 

 

 高齢者に幻覚が起きた時はたとえその事が現実にはありえない事でも、高齢者にとっては見えたり聞こえたりしているという事を理解すべきです。

 

 「何も聞こえない」、「そんな人はいない」等と否定せず、話を合わせ、「泥棒がいる」と怯えている場合は泥棒を追い払う動作をするとか、ちゃんと戸締りをしましょうといって安心していただきましょう。幻覚も症状として出てくる場合もあるので、専門医に相談しましょう。

 

 

 

鏡に向かって話しかけたり手招きする

 

 鏡に向かって話しかけたりする行為を「鏡像反応」もしくは「鏡像現象」といい、アルツハイマー型認知症の高齢者に特有の現象です。

 

 鏡という実体を認識できない事によるものと考えられています。鏡に向かって話しかけたり、手招きをしたりしますが症状で酢から承知をして見守りましょう。しかし、中には怒り出して鏡に殴りかかる人もいる場合もあり、ご本人にとって危険ですので、鏡の向きを変えたり、カバーをかけたりするのも良いでしょう。

 

 

 

  テレビのプロレスを止めさせようと興奮する 

 

 最も大切なのは、安心感を与えることです。

 

その事柄を否定すると、否定した内容は忘れても、非難されたという感情だけが残り、気分がますます不安定になります。プロレスや事件など不安になる番組はできるだけ避けるような配慮が必要です。

 

 

 

 

誰もいないのにそこに人がいると言う

 

 本人は恐怖心を持って訴えてきているので否定をせず、じっくり話を聞き、まず安心してもらうことが先決です。

 

 頻繁に起こるようなら認知症の周辺症状の幻覚も考えられるので、専門医に相談することをお勧めします。





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キーワード:認知症,高齢者,BPSD,周辺症状

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