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誤嚥性肺炎を予防する、食事の姿勢と食事介助のコツ

2020.01.24(金)

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食事は身体に必要な栄養素やエネルギーを補給し、生命維持の源となる重要なものです。
また、日常の楽しみとしても欠かせないものです。
介護に携わる際には、次の3つをポイントにおきましょう。

1.可能な限り自分で食べられるように援助する
2.口から食べられるように工夫する。
3.心理的、社会的、文化的欲求が満たされるように援助する。



咀嚼と嚥下のしくみ                            


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食物は、舌や歯によって咀嚼(かみくだくこと)され、口腔を通って、喉から食道へと飲み込まれ(嚥下)ます。このとき、普段は外部に開かれた状態にある口腔、鼻腔、気管が閉じて、食物が紛れ込まないようになっています。これから一連の筋肉の動きは神経が支配しており、嚥下反射といいます。

↓正しい嚥下の流れ
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↓誤嚥の時の嚥下の流れ 誤嚥性肺炎3.jpg





誤嚥を防止する食事の介護                      

誤嚥とは?
飲食物の一部が気道に入ること。誤嚥が習慣化すると誤嚥性肺炎を引き起こすこともあります。また、誤嚥により、呼吸困難や窒息をおこし死亡することもあります。

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嚥下障害は、嚥下機能に障害をきたし、飲食物をうまく飲み込めないという症状で、脳神経系の疾患や老化に伴う嚥下反射の低下が原因で生じます。
このほかに、加齢による唾液の分泌低下や食道の運動機能の低下が原因で生じます。
認知症、口腔・咽頭の疾患が原因となることもあります。

嚥下障害があると、むせて本人が苦しむほか、誤嚥性肺炎や窒息などの危険もあり、口から食べることに、臆病になりがちです
介助にあたる際には、本人の不安や恐怖感を十分理解し、安心して口から摂取できるように配慮する必要があります。



誤嚥を防止するための工夫                      
1.飲み込みやすい食品を用意する
 →栄養士と相談し飲み込みやすい食品を用意する。
2.調理方法の工夫
 →とろみをつけたゼリー状にするなど調理法にも工夫する。
3.食事の際の姿勢
 →姿勢は座位で頭部と体感をわずかに前に傾ける。
  座位ができない場合は、腰に枕を当てるなどして可能な限り上半身を起こす。
4.食事介助方法
 →むせてしまわないよう、食事前に口腔内を湿らせた唾液の分泌を促す。




飲み込みやすい食品、嚥下困難を誘発しやすい食品      

<飲み込みやすい食品>

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・プリン状の食品(プリン、卵豆腐など)
・ゼリー状の食品(ゼリーなど)
・マッシュ状の食品(ポテト、カボチャ)
・とろろ上の食品
・粥状の食品
・乳化状の食品(ヨーグルトなど)


<嚥下困難を誘発しやすい食品>

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・スポンジ状の食品(カステラ、凍り豆腐など)
・練り製品(かまぼこ、ちくわなど)
・口の中に粘着する食品(わかめ、のり、餅など)
・その他(大豆、ゴマ、こんにゃくなど)



誤嚥を防ぐ調理の工夫

同じ食品でも、調理方法をちょっと工夫するだけで、身体に優しく、安全な食事になります。
次のような工夫をしてみましょう。

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食べやすくする
小さく切ったり、柔らかく煮ると食べやすく、おいしさにもつながります。
魚の骨なども十分注意して、なるべく取り除いておきましょう。

温度に注意
極端に熱いもの、冷たいものは刺激が強いのでやめましょう。
料理のおいしさを損なわない程度に、食べやすい温度にします。

大豆製品を多くとる
タンパク質を摂るように、納豆・豆腐などの大豆製品を利用しましょう。

植物油を使う
炒め物などを作る際は、植物性の油を使います。
また肉は脂身を取り除くなど、材料は新鮮なものを選んで素材の持ち味を生かし、味付けはなるべく薄くしてください。
その分、ショウガ、シソなどの香味野菜や香辛料などで変化をつけ食欲を刺激します。

乳製品を利用する
カルシウムをとりやすい牛乳やスキムミルク、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品を少量でも良いので利用しましょう。



 

誤嚥を防ぐための適切な食事姿勢

座位のとれる方への介助

基本姿勢は「足を床につけた軽い前傾姿勢」です。座る姿勢を若干、前のめりにすることがポイントです。重心が前のほうに移動するため、身体が椅子からずり落ちないように腹筋や背筋の力と足で踏ん張って支えようとするのです。

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車椅子で食べる場合も同様です。フットレストがついていますが、脚は床に下ろしてください。前傾姿勢を保つためには、背中や頭の後ろなど必要な部分にクッションなどを入れてください。

実際の食事介助をする際は、必ず横に座ってください。忙しいからと立ったままでの食事介助はやめてください。介助者が立っていると、利用者は介助者の顔を見ようと上を向きます。上を向くと誤嚥のリスクが高まりますので、食事介助の際は必ず座ってください。

 

 

ベッド上での介助

90度ギャッジアップが基本ですが、拘縮や麻痺があり90度が難しい場合は30度にギャッジアップして行ってください。

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30度の利点は、飲み込みやすいこと、食べ物が気管に入りにくいことがあげられます。



食事介助のコツ


<食事を口に運ぶ>
食事介助で食事を口に運ぶ際、スプーンは口の中にまっすぐ引きだすようにしてください。
どをよく見ていただくと、飲み込んだのと同時にのどぼとけが動くのが分かります。(女性でものどぼとけ付近の骨が動きます)
のタイミングで、次の食事を口に入れてください。
の時必ず口の中になにも入っていないことを確認してください。
口の中にいつまでも食物があるような場合は、のどに詰まらせてしまう危険もあるので、食事をいったん休憩して様子をうかがってみましょう。
あまりにも長い時間飲み込まないような場合は、食物をいったん口から出すよう促しましょう。



<食べる場所>

出来るだけ寝る場所と食事をする場所は別々にすることが好ましいです。
部屋の広さや、ご家族のつごうによっては仕方のないことですが、座った姿勢が可能で解除する側の時間がある限り、寝る場所から離れて食事をすることをおすすめします。
目や耳から入ってくる情報や刺激に加え、場所を変えたことでの気分転換になります。

 



誤嚥は一度起こると、肺炎や窒息の原因となります。
正しく防いで、楽しい食事の時間にしたいものですね。

 


<相談を受け付けています>

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