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疥癬(かいせん)とは?自宅での感染予防法と対処法

2019.06.12(水)

疥癬は年寄りに感染することが多く、ふと肌をかいていたら、疥癬にかかっているかもしれません!
疥癬は家族内感染するほか、感染拡大の恐れがあるため介護老人保健施設や通所リハビリテーションなどのサービスが利用停止となってしまいます。

保育園など、乳幼児間で感染する場合もあるようです。

それでは、疥癬とはいったいどんな病気なのでしょうか?

疥癬とはどんな病気?                 

ダニの一種であるヒゼンダニが、皮膚の角質内に寄生することによって起こる感染症皮膚病です。
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患部には湿疹ができますが、線状の発疹であることが特徴で、その理由はヒゼンダニが皮膚表面にトンネル状の穴を掘って寄生しているからで、潜伏期間は2週間〜1ヶ月です。


ヒゼンダニってどんなダニ?              
ヒゼンダニは別名疥癬虫とも呼ばれ、皮膚のくぼみや毛穴から入り込み、穴を掘って潜伏します。
雌は毎日2、3個はトンネル内にタマゴを生み、4〜6週間生き続けます。



疥癬の症状                            



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常型疥癬と角化型疥癬に症状が分かれます。

<通常型疥癬>
疥癬トンネル、赤いぶつぶつの発心が見られ、激しいかゆみをともないます。
よく症状がみられる部位は、へそを中心とした腹部、胸部、わきの下、大腿の内側、外陰部や肘、臀部で、いずれもかゆみが生じます。
これらは幼虫や若い虫が一時的に潜って脱皮した後の穴で、中に残した糞や脱皮後の抜け殻に対するアレルギー反応のために赤く痒くなります。


<角化型疥癬>
灰色から黄白色の固いかさぶたのような状態が見られ、かゆみがある場合とない場合があります。
治癒が遅いのも特徴です。通常の疥癬では数十匹のヒゼンダニの感染ですが、 角化型では100万〜200万匹ものヒゼンダニが潜んでいるといいます。

いずれも強いかゆみで夜間に増長し、眠気を妨げるほど。
以下のポイントに該当する項目が2つ以上あるときは皮膚科を受診しましょう。
1 夜間に増強する痒み 
2 皮膚症状(湿疹やしこり)

3 家族に同じような症状を持つ人がいる 

通常疥癬と角化疥癬の違い.jpg

 


疥癬はどこからうつる?                 
通常疥癬は、長い時間皮膚と皮膚との接触があった場合(性交渉や介護など)に感染。

また患者が使用した布団やタオル、またこたつを洗濯しないまま使用すると稀に感染します。

通常型疥癬の場合
直接接触による場合と、まれに寝具などを介した感染があります。

ノルウェー疥癬(角化型疥癬)の場合
感染力が強く短時間の接触でも感染し、衣服や布団を介しても容易に感染します。患者の皮膚から多量のダニを含んだ角質層が剥がれ落ち、周囲に飛び散り、次々に感染が拡大します。

しかし、衣服や器具についたダニは24時間以上放置すれば虫卵、幼虫とも死滅します。
畳や布団で増えたりすることもありません。



疥癬になりやすい人

  1. 高齢で身体が弱っている
  2. 重症感染症や悪質腫瘍などの基礎疾患がある
  3. ステロイド剤や免疫抑制剤を投与されている

 など免疫機能が低下している人にヒゼンダニが寄生することで発症します。

また不潔な状態が長く続いていたり、健康でも家族に疥癬感染症がいると感染のリスクが高くなります。


疥癬の感染を予防するには             

  1. まずは、似ている皮膚病もあるため必ず皮膚科を受診して診断を受ける。
  2. 手洗いをしっかり行う
  3. 患者は個室に隔離し、寝具ごと移動する。
  4. 患者が使用した寝具・タオルは毎日洗浄、乾燥機(50℃10分間の熱で死滅)にかける、また天日干しにしてから使用。大型の乾燥機であれば20〜30分処理すれば、全てのダニを殺すことが可能です。
  5. 洗濯物運搬時はすぐにビニール袋に入れるなど皮膚垢が飛び散らないよう気を配る。
  6. 居室の掃除機は毎日かける
  7. 入浴は家族の中で一番最後にし、風呂掃除は壁・床も忘れず洗う。
  8. 角化型疥癬の場合は手袋や予防着を着て接する。


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特に皮膚に厚く付着している角質層(垢のようなもの)があればノルウェー疥癬の場合が高いので対策を急ぎましょう。

 

疥癬の治療                         
皮膚科を受診して、飲み薬や塗り薬を服薬します。
また希望によってかゆみ止めも処方されます。

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治療したらいつ治る?                  
適切な治療を行った場合は、約2週間前後で症状は軽快します。
通常型疥癬の場合、3週間から1ヶ月で終息します。
角化型疥癬は適切に対処すれば周囲の流行も含めて約2か月ほどで終息します。
周囲の患者さんも一緒に治療して、感染が拡大しないよう努めましょう。

治療の基本は、まずは皮膚科!そして感染予防!
線状のかゆみのある発疹が出たら、早めに受診しましょう。



受診をご検討なら、南東北春日リハビリテーション病院まで!

外来診察担当医表はこちら

(皮膚科の診療時間は、毎週水曜日 午後1:30〜4:00となっています)


記事寄稿:南東北春日リハビリテーション病院 広報誌 小春日和 117号より

キーワード:疥癬,疥癬 うつる,疥癬 症状

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