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外来トピックス 眼頸下垂についてpart1

2011.07.02(土)

眼瞼下垂とは
 読んで字のごとく、まぶたが垂れ下がった状態をいいます。
 眼瞼下垂になる原因としては、大きく分けて生まれつきのもの(先天性)と、生後に何らかの原因で眼瞼下垂に至るもの(後天性)があります。
 眼瞼下垂になると、垂れ下がったまぶたが邪魔となり、視野を妨げます。
 しかし近年、眼瞼下垂は単に視野を妨げるのみではなく、様々な症状を引き起こすことが分かってきました。
 眼瞼下垂の病態を理解するため、まず、まぶたの解剖と、私たちが普段起きているあいだ、なぜまぶたを開け続けていられるかを説明します。

まぶたの解剖と、まぶたを無意識に開け続けていられる理由 
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目を閉じた状態からまぶたを開けるときは、まず自分の意思により脳から眼瞼挙筋(A)に信号が送られ、眼瞼挙筋は眼球の後ろに向かって収縮します。

 すると、眼瞼挙筋(A)と連続している挙筋腱膜(きょきんけんまく)(B)や瞼板(C)なども引っ張られ、まぶたが開きます。

 このとき、眼瞼挙筋(A)と連続しているミュラー筋(D)の近くにある機械受容器(E)も引っ張られます。ここから脳に信号が送られます。この信号を受けた脳からの信号により眼瞼挙筋(A)はさらに収縮し、また、ミュラー筋(D)も収縮します。このため、一旦まぶたを開けると、あとは無意識にまぶたを開け続けることができます。

 

 

 

先天性の眼瞼下垂
 様々な原因がありますが、その多くは、まぶたを開けるための筋肉(眼瞼挙筋 上図A)の力が弱い、もしくは筋肉が働いていないことが理由です。
 
  
後天性の眼瞼下垂
 眼瞼挙筋(上図A)に問題があるもの、挙筋腱膜(上図B)に問題があるもの、神経に問題があるもの、怪我などによるもの、腫瘍などによるもの、加齢に伴うもの、などがあります。
 眼瞼下垂に至る疾患としては、重症筋無力症や動眼神経麻痺などが挙げられます。このような疾患がある場合はこれらの治療を優先します。
 しかし、後天性の眼瞼下垂の多くは挙筋腱膜(上図B)に何らかの問題が生じる「腱膜性眼瞼下垂」です。

眼瞼下垂が近年、注目されている理由
・頭痛持ちである。神経内科などで調べても、脳に異常はないといわれている。
・慢性的に首や肩がこる。マッサージや整形外科に通っているが、完治はしない。
 
 
 このような方は多いのではないでしょうか。
 頭痛や肩こりは、われわれ日本人の国民病と言っても過言ではなく、頭痛は日本人の4〜5人に1人、肩こりは日本人の2〜3人に1人は悩まされているとも言われています。
 これらの慢性的な頭痛や肩こりの原因が腱膜性眼瞼下垂であることが稀ではないことが分かってきたことが、眼瞼下垂が近年注目されている理由です。

 

次回は腱膜性眼瞼下垂の病態・腱膜性眼瞼下垂に至る原因・腱膜性眼瞼下垂に付随する様々な症状などを掲載したいと思います。

 

【情報提供】
医療法人将道会 総合南東北病院
http://www.minamitohoku.jp/


キーワード:形成外科,眼瞼下垂,先天性,頭痛

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