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原因と予防!! 「褥瘡(じょくそう)について」

2011.02.17(木)

褥瘡(じょくそう)って、どんな病気??

 褥瘡(じょくそう Pressure gangrene prevention)とは、長期にわたり同じ体勢で寝たきり等になった場合に、体とベッド等の接触の接触局所で血行が不全となり、設置部分の周辺組織に壊死を起こすものをいい、「床ずれ(Pressure sore)」のことです。

 皮膚の表面にはたくさんの毛細血管が走っています。毛細血管の血流によって皮膚には栄養が行き渡っていますが、長期にわたり同じ体勢で寝たきり等になった場合に、体とベッド等の接触部分で血行が不全となります。このように、体の一定の場所に長時間、圧力が加わって皮膚が虚血性壊死に陥ったのが褥瘡(床ずれ)です。

 

どんな人がなるの??

 褥瘡(床ずれ)のほとんどは寝たきり状態の人に起こります。健康な人は寝ているときでも、体の一部に持続的に圧力がかかると知らず知らずのうちに寝がえりをうっています。しかし、寝たきりの人は自分で体位を変えることができないため、同じ場所にずっと体重がかかり、褥瘡(床ずれ)が出来てしまいます。また、加齢によって皮膚が薄くなっている。栄養状態が悪い。糖尿病などの持病により、感染に対する抵抗力が落ちていることでも褥瘡(床ずれ)が発症する要因となってしまいます。

 

床ずれの症状は??

 褥瘡(床ずれ)は寝ている体位などによって生じる場所はさまざまです。体重のかかる骨の突出している場所で、脂肪や筋肉の薄いところが発症しやすい場所です。特に褥瘡になりやすい場所は、古紙の部分、足(特にかかと)、肩甲骨や肘の関節などです。また、寝ている人だけではなく、車椅子などに一日中座りっぱなしの人は、お尻にできることもあります。褥瘡のできはじめは、皮膚が赤くなり、薄く水ぶくれができます。この水ぶくれが破けて「びらん」という状態になります。乾いて治ってしまうこともありますが、皮膚が壊死すると、黄色から黒っぽくなり、周りが炎症を起こして赤く腫れてきます。また、感染を起こして膿がたまることもあり高熱が出たりもします。

 

褥瘡の治療方法は??

 褥瘡の出来始めを見つけたら、その部分をこすらないように注意しながらマッサージや局所の周囲を温めたタオルで蒸して、血行を促進して進行しないようにします。

※マッサージの際には、赤くなっている部分には決して触れないように気をつけましょう。

 褥瘡になってしまったら、皮膚を保護し、ドレッシング材を貼って自分の治癒力で皮膚の再生を促します (ドレッシング材は透明なもの(テガダーム・オプサイトなど)を選ぶと、皮膚の観察ができます)。水疱(すいほう)が破けてしまった場合は、細菌などの二次感染を防ぐために、抗菌作用のある外用剤を使います。

 褥瘡が慢性化し壊死が皮膚の深くに達したときは、壊死組織を溶かして取り除きます。新しい皮膚を再生させるために外用剤では溶かしきれないので、メスなどで取り除きます。

 外用療法のみで治癒が困難な重症の褥瘡の場合には外科的治療が必要となることもありますので、詳しくはお医者さんに相談しましょう。

 

褥瘡(床ずれ)の予防法??

圧力分散をする

 褥瘡予防には、骨の突出部にかかる圧力を分散させることが重要です。健常な人の場合は、敷布団はある程度固めのほうがいいのですが、寝たきりなどの床ずれができそうな人は軟らかいものの方が圧力がかからず適しています。一人で寝返りができない人などは、2、3時間ごとに体位を変えると予防出来、日中座りっぱなしの患者さんなどの場合は、どきどきお尻を持ち上げて、圧力を分散してあげましょう。

 

福祉用具などの利用する

 体圧を分散する寝具(エアマットレス・ウレタンフォームマットレスなど)などの福祉用具を利用し、骨への圧力を軽減する方法もあります。また、シーツや衣類の縫い目やノリのききすぎたシーツなどでも、皮膚を摩擦してしまうこともあるので注意しましょう。

 皮膚が乾燥していると、皮膚が傷つきやすくなりますので、入浴後や体を拭いた後に、保湿クリーム(ケラチナミン軟膏・ヒルドイド軟膏など)を使って、皮膚を保護します。

 

衛生管理と栄養管理 

 全身の清潔に保つことも大事です。汗や飲食物で寝具や寝間着が汚れた場合、すぐに取り替えましょう。特に尿失禁と便失禁に対するケアが褥瘡予防には重要です。

 栄養が行き渡らないと、褥瘡はできやすくなり、治りにくくもなります。栄養状態も褥瘡の発症や進行に大きく影響しますので、栄養管理にも注意が必要です。

 

 褥瘡(床ずれ)の発生は、治療と同時に予防に努める事が大切です。褥瘡(床ずれ)の予防と治療には、医師や介護に関わる人々と協力して対応していきましょう。

 

 

記事提供
社会福祉法人 南東北福祉事業団
総合南東北福祉センター
http://www.kaigo-hiwada.com/

 


キーワード:褥瘡,床ずれ,Pressure sore,毛細血管

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