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春日リハビリ広場

2018.05.14

パーキンソン病について

①パーキンソン病とは
 パーキンソン病とは、脳の中の黒質というところにある神経細胞が減ることにより、ドパミンが減少するために起こるものです。ドパミンは、運動を円滑に行うように脳からの指令を筋肉に伝える神経伝達物質のひとつです。症状としては、片側の手や足が何となしにふるえる、動きがのろくなって鈍くなる、歩き方が遅くなる、なんだか足がつまずきやすくなった、などという症状が主として現れます。症状を大きく分けると、①振戦(手足のふるえのこと)、②無動(動作がのろくぎこちない)、③固縮(手足の筋肉が硬くなる)、④姿勢反射障害(バランスがとれず、転びやすい)の四つに分けられます。これらが、四大パーキンソン症状といわれるものです。他に立ちくらみ、頑固な便秘、頻尿などの自律神経症状がみられることがあります。症状が進んでくると、意欲が低下したり、幻覚、妄想などの精神症状、認知症状が認められたりすることもあります。

②パーキンソン病のリハビリは?
基本的には投薬の治療が基本になりますが、出来るだけ早期から薬物療法と平行してリハビリテーションを行うことが大事です。内容としては、身体の関節が固くならないようにするための関節可動域訓練、歩行時や立位時の転倒を防ぐためのバランス訓練、歩行時の足の振り出しを行いやすくするための訓練、行いにくくなった日常生活動作(食事、トイレなど)を獲得するための動作訓練などを行います。症状によっては発語練習も併せて行ったりします。
自宅で行う際は、身体の部分で固くなってきたと感じる部分のストレッチや、新聞等で作った棒を利用した棒体操など、全身を大きく動かしたり、身体をひねったりするストレッチ・体操が有効です。パーキンソン病の場合、症状の進行を予防しながら日常生活において困難になってしまった動作を再び行いやすくしていくことがリハビリの主目標になります。

③具体的リハビリのポイント

―身体の柔軟性維持と拡大のためにー

パーキンソン病の患者さんでは、特に体をねじる動作や股関節・膝関節を曲げることが行いにくくなることが多いです。各関節で動かせる範囲内で、自分でできるだけ関節を動かすことが大事です。体の柔軟性を保つため、立位または坐位にて体をゆっくり前後に曲げたり伸ばしたり、体をゆっくり左右にひねったりが有効です。

―姿勢バランス訓練―

 歩行時の前かがみの姿勢に対しては、両手を挙げて壁などにつきながら、背のばしの姿勢をとるとよいでしょう。また1日1回はうつぶせの姿勢をとることも、前かがみの姿勢を改善させるのに有効です。また、床上での四つ這いや片足立ち等も有効です。立位でのバランスが比較的良好な方は、歩行練習の前に片足立ち、つま先立ち、かかと立ちなどの練習を行います。

―基本動作訓練―

 あおむけに寝た姿勢での骨盤ひねり、寝返り動作や寝ているところからの坐位、坐位から立位への移行動作などの基本動作訓練も患者さんによっては必要になります。たとえば立ち上がりの訓練は、足を手前に引き、体を前にたおしながら、肘掛けや座面を押すように立ち上がる動作を行います。介助者が前方または後方から介助してみるのもよいですが、前方に机を置いて立ち上がりの練習してみるのもよいと思います。

―歩行訓練―

歩行の練習をする前にまず注意することは、スリッパは転倒しやすいのでリハビリシューズなどのかかとの付いた靴を履くことと、床面周囲の障害物を取り除き環境整備をすることが大切です。歩行練習としては、歩行開始時に"イチ、ニ、イチ、ニ"と声を出すようにして、リズムをつけながら足踏みをすると足が出やすい場合があります。次に左右どちらかの足に決めて、その足を挙げてから、「せーの」で一歩目を踏み出すようにします。さらに床に約30cm間隔でラインを引いて、これを目標に歩くと、歩きやすくなる場合があります。歩行時のコツとしてはできるかぎり歩幅を大きくとりましょう。また、手の振りを大きくし体をひねるのを意識しながら歩きます。すくみ足、前傾姿勢が著しく目立つ時は、歩行器、車椅子を押しながら歩行します。介助者が前方から両手を支え引く形で歩行練習を行うのもよいでしょう。

[パーキンソン病の自主訓練について]

①ゆっくりと息を吐きながら身体を前方に曲げます。

指先を無理に床に付けようとしなくてもよいです。自分の届く範囲で無理なく行いましょう。



②ゆっくりと身体を後方にそらします。背中を伸ばす意識で行うとよいでしょう。

前方に曲げる運動と合わせて20回くらいが目安です。



③左右に身体をひねります。これも息をはきながらゆっくりと行います。

左右合わせて20回くらいが目安です。



④歩行時に特に姿勢が前かがみになってしまう方は、壁に両手を付けて背中を伸ばす運動を行うとよいでしょう。

10秒伸ばしを5回くらいが目安です。



⑤あおむけに寝ている状態で骨盤(下半身)をひねります。上半身はなるべく天井の方をみます。

ひねった状態で、息を吐きながら10秒保ちます。



⑥特に一歩目が踏み出しにくかったり、足がすくみやすい方は、床にラインを引き、それをまたいで歩く練習を行うのがよいでしょう。足が振り出しやすくなる場合があります。

棒を目標物として置いたりするとつまずく危険があるので、テープ等を貼るのがおすすめです。



参考図書:安藤一也、杉村公也:「リハビリテーションのための神経内科学」医歯薬出版株式会社.2002

春日リハビリ広場

パーキンソン病について

2018.05.14

①パーキンソン病とは
 パーキンソン病とは、脳の中の黒質というところにある神経細胞が減ることにより、ドパミンが減少するために起こるものです。ドパミンは、運動を円滑に行うように脳からの指令を筋肉に伝える神経伝達物質のひとつです。症状としては、片側の手や足が何となしにふるえる、動きがのろくなって鈍くなる、歩き方が遅くなる、なんだか足がつまずきやすくなった、などという症状が主として現れます。症状を大きく分けると、①振戦(手足のふるえのこと)、②無動(動作がのろくぎこちない)、③固縮(手足の筋肉が硬くなる)、④姿勢反射障害(バランスがとれず、転びやすい)の四つに分けられます。これらが、四大パーキンソン症状といわれるものです。他に立ちくらみ、頑固な便秘、頻尿などの自律神経症状がみられることがあります。症状が進んでくると、意欲が低下したり、幻覚、妄想などの精神症状、認知症状が認められたりすることもあります。

②パーキンソン病のリハビリは?
基本的には投薬の治療が基本になりますが、出来るだけ早期から薬物療法と平行してリハビリテーションを行うことが大事です。内容としては、身体の関節が固くならないようにするための関節可動域訓練、歩行時や立位時の転倒を防ぐためのバランス訓練、歩行時の足の振り出しを行いやすくするための訓練、行いにくくなった日常生活動作(食事、トイレなど)を獲得するための動作訓練などを行います。症状によっては発語練習も併せて行ったりします。
自宅で行う際は、身体の部分で固くなってきたと感じる部分のストレッチや、新聞等で作った棒を利用した棒体操など、全身を大きく動かしたり、身体をひねったりするストレッチ・体操が有効です。パーキンソン病の場合、症状の進行を予防しながら日常生活において困難になってしまった動作を再び行いやすくしていくことがリハビリの主目標になります。

③具体的リハビリのポイント

―身体の柔軟性維持と拡大のためにー

パーキンソン病の患者さんでは、特に体をねじる動作や股関節・膝関節を曲げることが行いにくくなることが多いです。各関節で動かせる範囲内で、自分でできるだけ関節を動かすことが大事です。体の柔軟性を保つため、立位または坐位にて体をゆっくり前後に曲げたり伸ばしたり、体をゆっくり左右にひねったりが有効です。

―姿勢バランス訓練―

 歩行時の前かがみの姿勢に対しては、両手を挙げて壁などにつきながら、背のばしの姿勢をとるとよいでしょう。また1日1回はうつぶせの姿勢をとることも、前かがみの姿勢を改善させるのに有効です。また、床上での四つ這いや片足立ち等も有効です。立位でのバランスが比較的良好な方は、歩行練習の前に片足立ち、つま先立ち、かかと立ちなどの練習を行います。

―基本動作訓練―

 あおむけに寝た姿勢での骨盤ひねり、寝返り動作や寝ているところからの坐位、坐位から立位への移行動作などの基本動作訓練も患者さんによっては必要になります。たとえば立ち上がりの訓練は、足を手前に引き、体を前にたおしながら、肘掛けや座面を押すように立ち上がる動作を行います。介助者が前方または後方から介助してみるのもよいですが、前方に机を置いて立ち上がりの練習してみるのもよいと思います。

―歩行訓練―

歩行の練習をする前にまず注意することは、スリッパは転倒しやすいのでリハビリシューズなどのかかとの付いた靴を履くことと、床面周囲の障害物を取り除き環境整備をすることが大切です。歩行練習としては、歩行開始時に"イチ、ニ、イチ、ニ"と声を出すようにして、リズムをつけながら足踏みをすると足が出やすい場合があります。次に左右どちらかの足に決めて、その足を挙げてから、「せーの」で一歩目を踏み出すようにします。さらに床に約30cm間隔でラインを引いて、これを目標に歩くと、歩きやすくなる場合があります。歩行時のコツとしてはできるかぎり歩幅を大きくとりましょう。また、手の振りを大きくし体をひねるのを意識しながら歩きます。すくみ足、前傾姿勢が著しく目立つ時は、歩行器、車椅子を押しながら歩行します。介助者が前方から両手を支え引く形で歩行練習を行うのもよいでしょう。

[パーキンソン病の自主訓練について]

①ゆっくりと息を吐きながら身体を前方に曲げます。

指先を無理に床に付けようとしなくてもよいです。自分の届く範囲で無理なく行いましょう。



②ゆっくりと身体を後方にそらします。背中を伸ばす意識で行うとよいでしょう。

前方に曲げる運動と合わせて20回くらいが目安です。



③左右に身体をひねります。これも息をはきながらゆっくりと行います。

左右合わせて20回くらいが目安です。



④歩行時に特に姿勢が前かがみになってしまう方は、壁に両手を付けて背中を伸ばす運動を行うとよいでしょう。

10秒伸ばしを5回くらいが目安です。



⑤あおむけに寝ている状態で骨盤(下半身)をひねります。上半身はなるべく天井の方をみます。

ひねった状態で、息を吐きながら10秒保ちます。



⑥特に一歩目が踏み出しにくかったり、足がすくみやすい方は、床にラインを引き、それをまたいで歩く練習を行うのがよいでしょう。足が振り出しやすくなる場合があります。

棒を目標物として置いたりするとつまずく危険があるので、テープ等を貼るのがおすすめです。



参考図書:安藤一也、杉村公也:「リハビリテーションのための神経内科学」医歯薬出版株式会社.2002